増加する女性の社会進出!働きやすい職場とは?

現在、少子化問題により若い労働者が減ってきているなか、女性の労働人口数が年々増加しています。この傾向から、これまで男性が多かった業種・職種の労働環境を改善し、女性の雇用を積極的に行う企業も出てきました。これからの社会を見据えてどのような職場環境が望ましいのでしょうか。

1.雇用に関連する様々実情

少子化による労働人数の減少があげられ、2000年で成人の数は164万人、2020年で成人の数は122万人、2040年で成人の数は82万人まで減少することが総務省の出生数の調査結果から明らかになっております。そして、女性の労働者数は平成30年の3014万人から、翌年の令和元年には3058万人へと年々増加傾向になっております。
少子化の原因の一つとして、女性の社会進出が挙げられており、環境整備が進んでいないと仕事と育児の両立が難しく2者一択となってしまう傾向があるからです。

2.課題と問題点

1.セクシャルハラスメント問題

セクシャルハラスメント(略名:セクハラ)とは「他の者を不快にさせる職場における性的な言動」及び「職員が他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動」を指し、対象は男性から女性のみだけでなく、女性から女性、女性から男性も含まれます。

【具体例】

(性的な内容の発言関係)

  • スリーサイズを聞くなど身体的特徴を話題にすること。
  • 聞くに耐えない卑猥わいな冗談を交わすこと。
  • 体調が悪そうな女性に「今日は生理日か」「もう更年期か」などと言うこと。
  • 性的な経験や性生活について質問すること。
  • 性的な噂うわさを立てたり、性的なからかいの対象とすること。
  • 「男のくせに根性がない」「女には仕事を任せられない」などと発言すること。

(性的な行動関係)

  • ヌードポスター等を職場に貼ること。
  • 雑誌等の卑猥わいな写真・記事等をわざと見せたり、読んだりすること。
  • 身体を執拗ように眺め回すこと。
  • 食事やデートにしつこく誘うこと。
  • 身体に不必要に接触すること。
  • 女性であるというだけで職場でお茶くみ、掃除、私用等を強要すること。

(職場外での事例)

  • 性的な関係を強要すること。
  • カラオケでのデュエットを強要すること。
  • 酒席で、上司の側に座席を指定したり、お酌やチークダンス等を強要すること。

2.マタニティー・ハラスメント問題

マタニティー・ハラスメント(略名:マタハラ)とは、労働者が妊娠・出産・育児を理由に同僚や上司等から肉体的・精神的な嫌がらせなどを受ける行為です。

【種類と具体例】

⑴制度等の利用への嫌がらせ

出産・育児・介護に関連する社内制度を利用しようとした際、当事者が利用をあきらめるざるを得ないような言動で制度利用を阻害する行為をいいます。

(具体例)

  • 産休の取得について上司に相談したところ「他の人を雇うので早めに辞めてもらうしかない」と言われた。
  • 妊婦健診のために休暇を取得したいと上司に相談したら「病院は休みの日に行くものだ」と相手にしてもらえなかった。
  • 育児のため短時間勤務している社員に「業務が楽でいい」と言う。
  • 育児休業の取得について上司に相談したところ「男のくせに育児休業をとるなんてあり得ない」と言われ、取得をあきらめざるを得ない状況になっている。

⑵状態への嫌がらせ

出産・育児などにより就労状況が変化したことなどに対し、嫌がらせをする行為をいいます。

(具体例)

  • 上司に妊娠を報告したところ「次回の契約更新はないと思え」と言われた。
  • 上司から「妊婦はいつ休むか分からないから仕事は任せられない」と雑用ばかりさせられている。
  • 同僚から「こんな忙しい時期に妊娠するなんて信じられない」と繰り返し言われ、精神的に落ち込み業務に支障が出ている。

3.仕事と育児の両立

出産の際、退職する女性の割合は、厚生労働省の調査によると2016年に45.0%(第一子出生年2011-15年)、2017年に44.2%(第一子出生年2012-16年)、2018年に44.2%(第一子出生年2013-17年)、2019年に42.1%(第一子出生年2014-18年)で、減少傾向にありますが、以前高い割合を示しています。
この原因として考えられるのが、一つは職場の環境にあると考えられます。
産休・育休の制度は、あるけど使用されていないもしくは職場の雰囲気が使用しにくいものとなっているもしくは、出産の前後には身体に大きな負担がかかり、仕事をしながら育児を続けることは難しいため、休職ではなく退職をせざるを得ないとケースも考えられます。 
また、退職後再就職する際は、正規雇用ではなく、パート・アルバイト勤務の割合が増えているのも仕事と育児の両立の難しさを表しています。

3.女性の社会進出への取り組み

1.セクシャルハラスメント防止対策

⑴会社の方針の明確化

セクハラ防止のための研修を行うなどして、従業員一人ひとりに教育を行い、代表者等の上の者がセクハラは絶対してはならないものと社内に発信し、会社の在り方を示すことが重要です。

⑵会社の規則化

就業規則にセクハラについてを明記し、セクハラをしていけないと就業規則からも従業員一人ひとりへ意識づくりを行うことが重要です。また、セクハラを防止するために、条文にセクハラを行った際の罰則も明記する必要があります。

⑶相談窓口の設置

セクハラが起こった時、被害者が相談できる窓口を設置し、従業員へ周知する必要があります。相談窓口の担当者は外部専門員や中立立場で対処できる者が窓口になり、プライバシーの情報管理整備もしっかり行うことが重要になります。

⑷発生後の対処

調査のため、被害者と加害者からヒアリングを行います。その際、被害者からは事実確認・証拠になりそうなメール等があったら、提出してもらいます。
また、、ヒヤリングを行う際は、同時に一緒だと被害者側に負担になり十分にヒヤリングができなくなるため、別々に隔離して行う必要があります。

⑸再発防止対策

事実確認を行い、セクハラの事実があった場合は、加害者を就業規則に照らし合わせて必ず処分する必要があります。行われた事例を社内で共有し、同じことをする者が出ないようにすることが重要です。そして、被害者のメンタルケアーとこの件で、仕事上不利な扱いを受けないように取り計らう必要があります。

2.マタニティーハラスメント対策

事業主は、マタハラ問題について理解を深め、従業員に教育を行い、発生した場合は解決のため必要な措置行うよう法律に定められています。

⑴会社方針の明確化

事業主がマタハラ問題に対して、基本方針を明確にして、従業員にメールなどで周知して、必要な研修を行う必要があります。

⑵相談窓口の設置

社内に相談窓口を設置する必要があります。相談窓口の担当を決めて、教育やマニュアルの作成、プライバシー情報の管理方法も決定し、従業員に相談窓口の存在を周知します。

⑶発生後の対処

発生が発覚した場合は、状況の悪化が懸念されるため、迅速に関係者からヒヤリングを行い、事実確認を行います。

⑷再発防止対策

マタハラの発生原因は、業務量の多さや人員不足から発生することが多い傾向にあります。業務量の再配分や人員補充などの今後の対策を行うともに、加害者は就業規則に沿って厳正に対処する必要があります。また、その際は、被害者・加害者のプライバシー保護を行い、被害者にあたっては相談したことにより不利な扱いを受けないようにしないといけません。

3.育児と仕事の両立対策

【取り組み具体例】

  • 男性の育児休暇習得の推奨
  • 時短勤務やフレックスタイム制の導入
  • 有給取得率の増加や1時間単位での有給取得可能制度
  • キャリアアップ制度の拡充で、女性管理職の増加
  • 在宅勤務の働き方の選択肢を広げる
  • 事業所内に保育所の整備・保育料の援助
  • 残業時間の削減対策
  • 労働時間の削減・業務体制の見直し

4.まとめ

これから少子化が進む雇用情勢環境を見ると、女性の社会進出の推進は不可欠になっていきます。女性を積極的に雇用する企業は増えてきましたが、女性の管理職の少なさや出産・育児の際の退職率を見て、各企業の労働環境整備は不十分なところが多いように思われます。
女性も働きやすい環境をつくるため、職場環境・労働条件を見直し、改善することが重要な課題ではないでしょうか。

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